
《ピンク・ドッツ――星の墓場で眠りたい》(部分)
1993–1994年
© YAYOI KUSAMA
タイトル
宇宙からの音響
会期
2025年4月24日(木)~ 8月31日(日)
入場は日時指定の完全予約・定員制(各回90分)です。
チケットはこちらよりご購入いただくことができます。
幼い頃から幻覚や幻聴に悩まされてきた草間。精神疾患はその創作活動に多大な影響を及ぼしています。1950年代、草間は自らのオブセッションに駆り立てられるように膨大な数のドローイングを描き、作家として躍進する契機を得ます。57年の渡米後は、水玉や網目などの無限に反復するパターンですべての存在を覆いつくし、自らもその世界へと埋没していく「自己消滅」の儀式ともいうべき作品群に取り組みますが、それは心理的な病理からの救済への願いであると同時に、ハプニングなどを通じて不条理な抑圧から社会を解放しようとする意図につながるものでもありました。しかし、心身の不調によって帰国した後の70年代後半から80年代にかけては、精神科病院の病室でコラージュや色紙といった小作品を数多く制作するようになります。その後、複数の画面にわたる絵画や巨大なバルーンなど、彼女の作品はエンヴァイラメント・サイズへと拡大していきます。草間のいう「自己消滅」とはもはやアーティスト個人の内面の問題ではなく、荘厳な「宇宙からの音響」のさなかに身を置くような感覚へと私たちを誘わずにはおかないといってもよいでしょう。
本展では、草間の芸術の根源ともいえる病に着目し、初期から現在に至るまでの多様な作品群および関連資料を展示いたします。宇宙の果てまでも増幅していく草間の豊饒なる創造力の所産を、ぜひご覧ください。


左:(左)《ヤヨイちゃん》2013年(右)《トコトン》2013年
アビバ・スタジオ(マンチェスター)でのインスタレーション・ビュー 2023年
右:《地の底のもえる火》1953年
© YAYOI KUSAMA


左:《星の精》2013年
右:《オブリタレーション・ルーム》2002年-現在
Collaboration between Yayoi Kusama and Queensland Art Gallery. Commissioned Queensland Art Gallery.
Gift of the artist through the Queensland Art Gallery Foundation 2012. Collection: QAGOMA. © YAYOI KUSAMA. Photo: QAGOMA

《ナルシスの庭》1966/2020年
草間彌生美術館(東京)でのインスタレーション・ビュー 2020年
© YAYOI KUSAMA