タイトル
私は死を乗り越えて生きてゆきたい
会期
2024年10月17日(木)~ 2025年3月9日(日)
入場は日時指定の完全予約・定員制(各回90分)です。
チケットはこちらよりご購入いただくことができます。
太平洋戦争を複雑な家庭環境下で体験し、トラウマや神経症による自殺未遂衝動を創作活動で乗り越えてきた草間彌生にとって、生と死は常に差し迫った問題でありました。本展では、戦争の影が色濃く見られる1940~50年代の絵画から最新作までの多様な作品の展覧を通し、草間の死生観の表出とその変遷をご紹介いたします。
1957年の渡米後、幻覚に由来するモチーフの強迫的な反復により、自他の境界が消えていくような感覚「自己消滅」を網目の絵画や彫刻等で表現し評価を得た草間は、60年代後半には、同コンセプトのもと、水玉模様を人体に描くハプニングで反語的に人体・生命の美しさを強調し反戦を唱えます。続く70~80年代は、心身の不調による帰国、父や恋人の死を経て、死をテーマとする暗い色調のコラージュや立体作品を多数制作、詩作や小説にも死の匂いが満ちた時代でした。死への衝動、死後の世界や異界を表した神秘的な作品制作を続けるうちに、80年代後半の作品は、自己消滅を通した永劫回帰や輪廻転生をテーマとするようになります。次第に色数を増す作品には、死を乗り越えるための創作が彼女の生そのものとなる過程が見出せます。2000年以降の絵画シリーズでは、迫りくる死の影が起爆剤となり、生命の神秘、生きる喜びを、色の洪水ともいえる画面にひたすらに描き続けています。